スチレン・ポリスチレンの安全性
スチレンモノマーの放散速度測定に基づく室内濃度の推算
下記の推算結果から、室内に持ち込まれたポリスチレン樹脂製品から放散されるスチレンによる室内スチレン濃度は、指針値よりも充分に低いと考えられます。
(1) ポリスチレンからのスチレン放散速度測定
(株)茨城環境技術センターに委託して、ポリスチレン樹脂(汎用GPPS及びHIPS)の射出成形直後の試験片から放散するスチレン濃度を測定し、経過日数による放散速度の変化を求めました。
成形後の日数経過によりスチレンの放散速度は低下し、10日程度でほぼ一定になることが分かりました。放散速度はHIPSの方がGPPSより大きく、一定になった時点でのHIPSの放散速度は3.4µg/m2hでした。これをスチレンの放散速度として使用することにしました。
(2) 放散速度から室内スチレンモノマー濃度推算
下記推算結果から、室内に持ち込まれたポリスチレン樹脂製品から放散されるスチレンによる室内スチレン濃度は、指針値よりも充分に低いと考えられます。
各種条件での室内スチレン濃度算出結果(スチレン指針値220µg/m3)
表面積 | 設定条件 | 室内スチレン濃度 | 厚生労働省指針値に対する割合 | 備 考 | |
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1 | 8m2 | 6畳の部屋にTV、エアコン、パソコン、蛍光灯カバーを設置 | 2.2µg/m3 | 1.0% | 通常有り得る例 |
2 | 13m2 | 上記に洗面化粧台、幅木を追加 | 3.5µg/m3 | 1.6% | 極端な例 |
3 | 51m2 | 6畳の部屋全面(天井、床、壁4面)をポリスチレン樹脂で被覆 | 14µg/m3 | 6.4% | 現実には有りえない例 |