スチレンモノマー(SM)とは
スチレンモノマー(SM)とは
ポリスチレンやABS樹脂等のプラスチックやゴム・塗料の原料となる化学物質です。
無色透明の液体で特有の強い臭いがあります。
1839年にシモン(独)が天然樹脂から精製して得られた物質にStyrol(スチロール/英語名:Styrene)と名付けたのが起源とされています。
別名としてスチロール、フェニルエチレン、スチロレン、シンナメン、エテニルベンゼン、ビニルベンゼンなどの名称があります。
天然物質として自然界に存在し、日常口にする食物の中には微量ですがスチレンモノマーを含んでいるものもあります。
分子式はC8H8、示性式はC6H5-CH=CH2です。
一般的には、原油やナフサなどから得られたエチレンとベンゼンを化学反応させてできるエチルベンゼンから、水素を取り除くという製法で造られます。
構造式
スチレンモノマー(SM)の代表的性状 | |
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名称 | スチレンモノマー(SM) |
融点 | -30.6℃ |
沸点 | 145℃ |
密度 | 0.9016g/㎤ (25℃) |
分子量 | 104.15 |
引火点 | 31℃(密閉式) |
自然発火点 | 490℃ |
歴史について
正式に論文という形で記録の残っているものでは、1839年にドイツのシモンが天然のエゴノキの樹液から抽出される蘇合香(そごうこう、Styrax )の成分としてスチレンを発見し「Styrol」と名付けたとされていますが、この時点においてもその構造について解明されるまでには至っていませんでした。
その後1920年代になって、同じドイツの化学者であり高分子の研究を行っていたシュタウディンガーは、スチレン分子が長い鎖状となった構造のポリスチレンを発見し、1922年にこれら研究成果を論文で発表し、高分子や重合といった概念を提唱しました。
1930年代になるとスチレンの商業生産方法が開発されたのを機に、第二次世界大戦中の合成ゴム需要に支えられ、1940年代にかけてその生産量は飛躍的に増加しました。
以後も、スチレンはその取り扱い易さと、安価で様々な分野で応用できることから、 合成樹脂やゴム・塗料等の原料として幅広く利用されています。
参考文献
- 1)
- ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING VOLUME 16
- 2)
- GIANT MOLECULES –Essential Materials for Everyday Living and Problem Solving SECOND EDITION
- 3)
- ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY (THIRD EDITION) VOLUME 2
- 4)
- Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (fifth, Completely Revised Edition)Volume A25
- 5)
- STYRENE – Its Polymers, Copolymers and Derivatives Ray H. Boundy Raymond F. Boyer / Hafner Publishing Co.(1970)