ポリスチレン(PS)とは

ポリスチレン(PS)の製造方法について

ポリスチレンはスチレンモノマーを重合して得られ、重合機構は、ラジカル重合やイオン重合(アニオン重合、配位アニオン重合)で進行します。
工業的には比較的容易に製造できるラジカル重合が主流です。

また、シンジオタクチックポリスチレンはメタロセン触媒を用いた配位アニオン重合で行われています。

重合様式には塊状重合、溶液重合、及び懸濁重合があり、現在、ポリスチレンの製造は純度の高い連続塊状重合法へ移行しています。

ポリスチレンは、前述のような一次構造を有しますが、その重合度は通常均一ではなく分子量に分布を有します。
これは、典型的には重合方式によって特徴付けられ、例えば、アニオン重合では極めて狭い分布のポリマーを得る事ができます。
分子量の標準物質として市販されている“標準ポリスチレン”はこの種のものです。
また、懸濁重合で得られるポリスチレンの分子量分布は広くなります。

概略図で示すと、GPPSはスチレンを主原料に重合し、GPPSでは強度面から高分子量化、あるいは組成が単純なことから高生産性を追及したプロセスになっています。
ポリマーはモノマーに溶解し重合の進行とともに粘度が上昇するため除熱が難しくなります。
そのため、ラジカル重合による発熱を制御し暴走反応を抑制する必要があり、装置設計には粘性や除熱が十分に考慮されます。

ポリスチレンは透明で硬いプラスチックとして有用ですが、割れやすいと言う欠点を有し、この改良のために、エラストマー(一般的にはポリブタジエン)の存在下で重合して得られる耐衝撃性ポリスチレン(High Impact Polystyrene)も製造されています。

HIPSはブタジエン系ゴムにスチレンをグラフト反応させながら重合します。
HIPSでは先ず、ゴムのグラフト化や生成ゴム粒子の形態(モルフォロジー)制御を行い、それに続く重合工程では滞留時間の適正化や滞留箇所を低減し微小塊状ゲル物(フィッシュアイ)を生成しないプロセスとなっています。
その他、重合率、揮発分、分子量等のコントロールが行われ、重合槽には完全混合槽(STR)、ピストンフロー型反応器(PTR,塔式重合器)、静的混合器(スタティックミキサー;SMRリアクター)及びその組み合わせ等があります。