スチレン・ポリスチレンの安全性

工業用部材としての安全性

ポリスチレンは工業用部材として、建材、家電製品の外装、洗面化粧台などに使われています。
ポリスチレンそのものは、化学的に安定な材料ですが、極微量のスチレンモノマーが含まれており一部は空気中に放散されます。

一方、近年住宅は気密性が高く、室内空気が汚れやすくなっています。
そのため、カビ・ダニや化学物質による健康影響が起きる事があり、シックハウス症候群と呼ばれています。

スチレンモノマーについて、厚生労働省が検討し室内濃度指針値(生涯曝露されても健康への有害影響を与えることはない濃度)が、220µg/m3 (0.05ppm)と設定されました。
ばく露の実態は、厚生労働省が平成25(2013)年夏季に測定した室内濃度の中央値(夏季、寝室)で1.1µg/m3であり、指針値に比べて極めて低い値です。

また日本スチレン工業会は、ポリスチレン樹脂の成形直後の試験片から放散するスチレンモノマー量を測定しました。
この値を用いて、6畳の部屋全面をポリスチレン樹脂で被覆した室内で放散されるスチレンモノマー濃度を推算すると、14µg/m3です。室内濃度は、極端にスチレンモノマーの放散が多くなる仮定で推算しても、指針値の10分の1より低くなりました。

この結果は、ポリスチレンを使用した建材や家電製品などから放散されるスチレンモノマーの室内濃度は、指針値よりも充分に低く、ヒトへの健康影響の心配はないことを示しています。