資源循環への取組み

ポリスチレンの資源循環への取組み

ポリスチレンは最もリサイクルが進んだ樹脂の一つです。

ポリスチレンはその化学構造から再生使用しても強さや硬さの低下が少なく、マテリアルリサイクルしやすい材料です。

発泡ポリスチレンは誰が見ても、容易に見分けることが出来る材料であるため、単一素材として回収リサイクルが進んでいます。

使用済みプラスチックの中でポリスチレン類の占める割合は約1割です。

(1)発泡ポリスチレンのリサイクル

発泡ポリスチレン製品は、ポリスチレンを発泡させることにより、断熱性等の機能発現と軽量化、製品コストの低減を追求してきました。
地球温暖化という私たちの差し迫った問題に直面し、石油資源の使用量を抑える有力な手段のひとつです。

詳しくは当工業会「ポリスチレン(PS)と地球環境」をご参照ください。

リサイクルについては、発泡ポリスチレンが単一素材であるためリサイクルに適した材料であること、並びに熱、溶剤、圧縮等により容量を減らすこと(減溶化)が出来るために、一度に多くの使用済み製品をリサイクルできるという特徴があります。

関連資料:発泡スチロール協会

1) 発泡スチレンシートの特長

発泡スチレンシートは以下のような特長があります。そのため、納豆容器、弁当容器、食品トレー等に広く使われています。

  • 容器あたりの重量が軽く、省資源・省エネルギーな材料です。
  • ソフトでクッション性があり、トマトや桃などの柔らかい商品を衝撃から守ることができます。 
  • 水分が保持されるため、特に青果物の「しなび現象」防止に効果があり、生ゴミの発生を抑制します。
  • 識別が簡単で回収に適しており、再生も容易で再資源化しやすい材料。
2)発泡スチレンシート製容器のリサイクル

発泡スチレンシートから作られる食品容器は年間約12万トンが生産されています。

そのうちのリサイクル量については発泡スチレンシート製トレーの自主回収と容器リサイクル法に基づく回収を合計すると、約10%が回収・リサイクルされていることになります。

  • スーパーでの店頭回収(数量 8.47千トン)
    消費者:トレーを洗浄後、回収ボックスへ
  • 市町村での回収(数量 1.74千トン)
    消費者:トレーを洗浄後、分別排出 市町村:分別回収 再生業者:再生製品化

出典:資源循環ハンドブック2020

魚箱や緩衝材に使われる発泡スチロールは、その数量に対するマテリアルリサイクルとエネルギー回収の合計の割合がほぼ90%に達しています。

リサイクルについては発泡スチロール協会のホームページをご覧ください

押出ボードは、ポリスチレンに発泡剤、添加剤(難燃剤等)を溶融混合し発泡させ、そのまま板状に押出し、冷却工程を経て切り出して製品になります。
断熱性が高く、軽量でかつ圧縮強度が強いことから、住宅の断熱材、冷凍倉庫、土木建材、畳の芯材等に使われています。
ハウスメーカー等ではリサイクルの取り組みを行っています。

リサイクルについては押出発泡ポリスチレン工業会のホームページをご覧ください

(2) 家電・OA製品(ポリスチレン製射出成形品)のリサイクル (マテリアルリサイクル(材料リサイクル))

成形工場等の生産工程で発生するインナーロス等の廃ポリスチレンは品質及び組成が明確なので、そのまま再溶融されリサイクルされます。

市場から回収されたポリスチレン製品でも付着物や異物を除けば元のポリスチレンとほぼ同等の機械的性質を維持しており、ポリスチレンは再商品化するマテリアルリサイクルには適した材料といえます。

TVの筐体、冷蔵庫内の仕切り棚や事務所の複合機のカートリッジなど、マテリアルリサイクル技術が開発されています。