ポリスチレン(PS)の特長と用途

ポリスチレンの特長

ポリスチレンは大きく分けると非晶性で透明な一般用ポリスチレン(GPPS)と、GPPSにゴム成分を加えた乳白色の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の2種類があります。これに加え、結晶性で不透明ですが耐熱性に優れたシンジオタクチックポリスチレン(SPS)も1990年代後半にエンジニアリングプラスチックとして登場しました。

透明性が良い(GPPS)
GPPSは透明性に優れています。
発泡させやすい(GPPS)
発泡させることで、軽量で断熱効果が高くなるため、食品容器や断熱材に適しています。また衝撃を吸収するため、緩衝材(発泡スチロール)として使用できます。
衝撃強さと堅さのバランスがとれている(HIPS)
HIPSは耐衝撃性と剛性のバランスがとれており、各種外装材として使用されています。
形を作りやすい(共通)
ポリスチレンは熱に比較的安定で、成形時の寸法安定性も優れているため、成形加工しやすい材料です。
電気を通さない(共通)
ポリスチレンは電気を通さないので、特別な処理を行わなくても、電気製品の外装材や絶縁部品として使用できます。
無味無臭である(共通)
ポリスチレンは無味無臭であるため、食品の包装材に適しています。
耐薬品性について
非晶性のPS樹脂は一部の溶剤(石油系の溶剤、中鎖脂肪酸系(MCT)油等)に弱いと言われることがありますが、酸・アルカリやエタノール製剤には十分な耐性がある事から食品包装容器や家電分野で多く採用されています。
また、耐油性を改良したHIPSやBOPS等の開発も進んでいます。
結晶性のSPSは各種溶剤に対して優れた耐薬品性を有します。
耐熱性が高い(SPS)
SPSは結晶化により融点(約270℃)を持ち、高い耐熱性を有しています。
リサイクルしやすい(共通)
ポリスチレンは、その性能が変化し難いのでマテリアルリサイクルしやすい材料のひとつです。発泡ポリスチレン等は高い有効利用率を誇っています。
更に、ポリスチレンは熱的に解重合しやすくモノマー収率が高い事から、ケミカルリサイクルの実用化も期待されています。

用途

ポリスチレンは5大汎用樹脂の一つであり、広範囲な用途に使用されています。

GPPSの用途

透明で剛性が高い事を利用して、電気冷蔵庫の庫内部品等の家電部品、CDケース、レターケースのトレー、ボールペンの軸等に使用される他、最近では液晶表示パネルの拡散板や導光板などにも使用されています。

また、延伸加工によって強度を高めたBOPSシートは、スーパーやコンビニのお弁当や惣菜の蓋材として広く使用されています。更に薄いフィルムに加工したものは、封筒の宛名部分などに使用されています。

HIPSの用途

不透明だが耐衝撃性と剛性のバランスに優れるHIPSは、家電・OA機器類のハウジング材や内部部品として幅広く使用されています。

またシート状に加工したものから、食品容器類を中心に多様な包装資材に使用されています。ブローや射出成形でも容器類が作られており、乳酸菌飲料やヨーグルト容器に使用されています。

PS発泡体の用途

ポリスチレンは発泡させやすく、発泡体の断熱性を生かして、建材ボードや、カップ麺容器、魚箱などに使用されています。

また極めて軽量で、剛性が高い事を生かしてスーパーやコンビニのお弁当や惣菜の容器や食品トレーにも広く使用されています。

緩衝材や、畳の芯材等にも使用されています。

シンジオタクティックポリスチレンの用途

結晶性であり、耐熱性と耐薬品性に優れ、軽量であることを生かして、ハイブリッドカーの電装部品、家電、水周り、食器等に使用されています。