スチレンモノマー(SM)とは

製造方法について

スチレンは最初、ケイ皮酸の脱炭酸により合成されていました。

今日、工業的に最も多く用いられているのは、エチルベンゼンを脱水素してスチレンを製造する方法(脱水素法)です。他にもエチルベンゼンを酸化・脱水してスチレンと酸化プロピレン(プロピレンオキシド)を得るハルコン法(PO/SM法)があります。

かつては、エチルベンゼンを塩素化したのちに脱塩化水素でオレフィンとする方法やエチルベンゼンを酸化したアセトフェノンから水素添加したメチルフェニルカルビノールを経由して脱水反応しオレフィンとする方法なども存在しました。

また、スチレンの生成を主目的とした石油留分の熱分解生成物から分離する方法も研究されていましたが、分離操作が複雑となるため発達しませんでした。

脱水素法

脱水素法によりエチルベンゼンからスチレンを合成する際には酸化鉄触媒等が用いられます。
反応は吸熱であり、分子数が増加する反応であるため、高温と低圧が平衡的に有利な条件です。
それゆえ反応は550℃以上の減圧下で行われる事が一般的です。
さらに、反応時に発生する水素を酸化させることにより、反応に必要な熱を供給すると共に、反応場の分圧を下げて平衡を有利な方向へ導く方法も一部で採用されています。

脱水素法

ハルコン法(PO/SM法)

ハルコン法では、エチルベンゼンの自動酸化によりエチルベンゼンハイドロパーオキシド(EBHP)を合成し、EBHPにプロピレンを作用させ、1-フェニルエチルアルコール(α-メチルベンジルアルコール)と酸化プロピレンを生成、その後1-フェニルエチルアルコールの脱水によりスチレンを合成します。

ハルコン法(PO/SM法)