スチレン・ポリスチレンの安全性

スチレンの室内濃度指針値について

(1)スチレンの指針値は?

厚生労働省ウェブサイトで、"220µg/m3 (0.05ppm)"と設定されています。
ラットに11週間高濃度のスチレン蒸気を吸入させた試験において、影響が認められた濃度を用いて、実験の内容、動物と人の差、個体差などを考慮して設定されています。

出典:厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第4回~第5回のまとめ 平成12(2000)年12月15日」(2021年3月10日に利用)
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1222-1_13.html

(2)スチレンが指針値策定対象物質とされた理由は?

厚生労働省ウェブサイトで、以下の通り説明されています。

"対象物質選択に際しては以下の事項を考慮することとしており、

1)
WHO空気質ガイドライン等で指針値が提示されている化学物質。
2)
居住環境内における揮発性有機化合物の全国実態調査(厚生労働省)等の結果、室内濃度及び室内濃度/室外濃度比(I/O)が高く、個人ばく露濃度/室内濃度比(P/I)が1を大幅に上回っていないもの。

等を総合的に検討した結果、指針値策定の次の対象としてスチレン等4物質とする"

出典:厚生労働省ウェブサイト「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第1回~第3回のまとめ 平成12(2000)年6月26日」(2021年3月10日に利用)
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1206/h0629-2_13.html

(3)指針値算出の根拠は?

厚生労働省ウェブサイトに詳しく説明されています。

"(7) 亜急性及び慢性毒性に関して、ラットに1260mg/m3 のスチレンを1日6時間、週5日、11週吸入させた場合、脳内軸策タンパク質の変化、腎臓及び肝臓の薬物代謝酵素誘導、肝臓の組織学的変化、肝臓等のグルタチオン量減少が認められている。420mg/m3 のスチレンを投与した場合は、グルタチオン量の大きな減少は認められていない。"

"(12) 従ってスチレンの室内濃度指針値の算出には、入手した毒性知見から最も安全サイドにたった数値が得られるデータを採用することとし、(7)のラット11週の吸入毒性データを用いることとした。LOAEL=1260mg/m3 として、耐容1日摂取濃度を計算すると、1日24時間及び週7日に平均化し、不確実係数を1000(LOAEL=10、種差10、個体間差10)で計算すると、スチレンの室内濃度指針値は、1260mg/m3×6/24×5/7×1/1000=0.225mg/m3 (=220µg/m3 ;0.05ppm)と推定された。"

出典:厚生労働省ウェブサイト「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書-第4回~第5回のまとめ 平成12(2000)年12月15日」の別添1「室内空気汚染に係るガイドライン案について-室内濃度に関する指針値-」(2000年9月25日)の「2.スチレンの室内濃度指針値の策定」の、(7)と(12)項(2021年3月10日に利用)
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1222-1_13.html#bessi1