スチレン・ポリスチレンの安全性
食品容器・包装材料としての安全性
プラスチックが普及する以前、食品の包装・保存には、天然素材(経木、蝋引き袋、竹皮、藁、ガラスなど)が使われていました。
1960年代に入り、スーパーマーケット等ではポリスチレン製トレイと透明フィルムでラップされた生鮮食品(魚・肉など)が、個別包装で売られるのが一般的になりました。
そのポリスチレンの特長として以下のものが挙げられます。
- 断熱性:発泡したポリスチレンは、保冷性能に優れ食品の温度変化を低く抑えることができ、雑菌の成長速度を遅らせる効果があります。例えば、魚市場で広く普及している魚箱は、昔は木箱のため保冷性や密閉性に劣り、遠距離での輸送が困難でした。しかし、現在の発泡スチレン製の魚箱では、流通技術の向上と相まって、鮮魚を新鮮なまま海外への輸送も可能となりました。
- 透明性:ポリスチレンはガラスと同等の高い透明性のある素材です。内容物を出さずに素材の状態を確認出来るので、寿司や弁当箱のフタに使われています。さらに容器本体とかみ合わせ(嵌合性)が良いこともあり、雑菌等の侵入を防げることからそのまま持ち運ぶことができ非常に衛生的です。
- 軽量で丈夫、しかも衛生的:例えば乳酸菌飲料はガラス瓶で売られていましたが、ポリスチレン素材を使うことにより、割れることによるけがの防止ができ、またフタと容器のシール性がよいので衛生的です。
この60年の間に我が国の食品衛生管理の環境は大きく進歩・発達しました。誰もが生鮮食品をはじめとする食品を食中毒等の心配なく安全に入手できます。これには冷蔵・保管・流通技術の進歩・発達と相まって、ポリスチレンの樹脂製造技術および食品容器成形・包装技術が大きく貢献しています。
ファクトシート
和文(ポリスチレンは食品包装材料として世界各国で認められています)