資源循環への取組み
ポリスチレンがリサイクル性に優れるのはなぜ?
ポリスチレンは他のプラスチックと比べると、熱をかけたり溶かしたりするときに壊れにくい性能を持っているためです。
ポリスチレンは、『スチレン』という単分子(モノマー)が重合反応で結合して(高分子鎖:ポリマー)出来たものです。
スチレンモノマーをCH2=CHX(Xはベンゼン環)としてあらわすときCH2を尾、CHXを頭とすると主鎖中の結合の仕方は、頭―尾、頭-頭、尾-尾の三つになります。
ポリスチレンではほぼ100%が頭-尾結合となります。他の高分子では数%~数十%で頭-頭結合等が存在します。
頭-頭、尾-尾結合が存在すると不安定な構造のため物性が低下します。特に耐熱性に関して影響が大きく、微量でも熱劣化や変色が発生します。
ポリスチレンの熱安定性
高分子が外部から熱を与えられ内部エネルギーが増加すると次の挙動を取ります。
側鎖の運動 セグメントの回転による熱運動(Tg) 主鎖の運動(軟化点) 主鎖の滑り(溶融)
高分子は分子運動が盛んになると、ついには化学結合の切断反応が起こります。
引用:マテリアルライフ 1996/10 高分子の熱劣化 群馬大 大沢善次郎
ポリスチレンは以下の特性から製品の再加熱時の変形や劣化が少なく、リサイクル性に優れています。
- 側鎖(ベンゼン環環)の分子量が大きく主鎖の分子運動が抑制される。
- 単分子の3級水素が少なくラジカルの発生起因が少ないこと。
- 単分子の構造から主鎖の解重合した末端部の影響が少ない。